優秀句・最優秀句作品

 

【最優秀句】聖夜なる肛門外科のパイプ椅子 投稿者:有瀬こうこ
 聖夜なのです。しかし、いるところは肛門外科。
この意外な取り合わせに新鮮な驚きを覚えます。
そして、パイプ椅子の冷たさがじんわりとお尻に伝わるのです。自身の診察なのか或いは手術を待つのか。誰かの付き添いとしてじっと待っているのか。
 本当なら聖夜を暖かい部屋で過ごす予定だったのかもしれません。レストランのディナーが待っていたのかもしれません。或いは燭下の礼拝かも。ただ居るのは肛門外科。
 沈黙のうちに呼び出されるのを待っている。たぶん、人も多くはないのでしょう。流れているBGMはクリスマスソングでしょうか。
 さて、「○○さん」と静かに響く声。冷たいパイプ椅子から立ち上がり、行く先は診察室か手術の結果を聞くのか。  聖夜をスリッパの音だけが過ぎてゆくのです。
【優秀句】ボーカロイドに愛歌わせてレノンの忌 投稿者:樫の木
 ジョン・レノンが殺害され早や38年が過ぎた今、レノン忌の様子も変わってきました。名曲「ラブ」もボーカロイドの歌声。ジョン・レノン聴くとどう思うのか、などと、ふと感慨にふける。でも、「愛」だけは歌い継がれてゆくのだという思いも強いのでしょう。この先どんなレノン忌が訪れるか。「愛」が歌い継がれてゆくことは確信したいこの日です。
【優秀句】我にいる蝸牛しゃきりとして初日 投稿者:一斤染乃
 内耳の蝸牛でしょう。「しゃきり」がプラスマイナス両方向に読めるのですが、普段は耳鳴りなどに悩まされることもあるのに、初日の出を眺めている今は清々しくあると読めました。季語の力ですね。新年の昇り来る日を見つめつつ、今年の平安を願う朝。その蝸牛に届く新春の音たちはどのような言祝ぎを奏でているのでしょうか。
【優秀句】冬の月満ちゆくバターまだ溶けず 投稿者:次郎の飼い主
 寒空の月が太ってゆく日々。フライパンに落としたバターはまだゆっくりと形を崩しながら、角を残しているのでしょう。何かを焼くのか炒めるのか、豊かな食卓への準備は始まったばかり。やがて皿に盛られるであろう温かな料理へ。月色のバターが溶けてフライパンに満ちゆき、食材を加えるまでの緩やかな時間が流れます。
【優秀句】着ぶくれてわたしの影にゐるわたし 投稿者:きゅうもん
 「着ぶくれ」という季語を軽く裏切ってくれる味わいのある句です。一瞬、実景かと思わせた後、中七下五で幻覚のような世界に誘い込む。私の実像に重なる私の虚像が写りの悪いテレビの画像のように揺れてブレているのです。影に寄りそい影とともに歩む「わたくし」は益々着ぶくれて冬の道をよろよろと進みゆくのでしょう。

【佳作】

挾まれし乳房ととのえ牡丹鍋	投稿者:七瀬ゆきこ 粕汁をつくるピアスの穴閉ぢて	投稿者:比々き ぽつぺんやゆつくり剥がれゆく耳垢	投稿者:すりいぴい 毛糸編む星の響きの寝台車	投稿者:みやこわすれ 冬木立のぼりて星をひとつかみ	投稿者:麦乃 冬の日を連れて電車の地下潜る 投稿者:彩楓(さいふう) 冷たくもまろき重みの蕪を抱く:山内彩月 質問で終わる手紙や冬苺	投稿者:洒落神戸

 

「これにて」とひときわ黒く賀状書く	投稿者:本上聖子 死ぬまでは自由な時間みかん剥く	投稿者:露砂 穴惑いのつぴきならぬ封書きて	投稿者:あめんぼう 普通とは何ぞ林檎の赤を食む	投稿者:小崎暁月 毛糸編むゆっくり沈む砂時計	投稿者:じゃすみん ひめりんご大人の嘘の共通点	投稿者:中山月波 鷺ひとつけぶる細雨の冬田かな	投稿者:孝雄 バックルに油を垂らす四日かな	投稿者:椋本望生

 

山茶花の下で殺人事件らし	投稿者:無矩 鳶まろく天を切りとる初景色	投稿者:里邑雨径

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スケジュール
11/22〜12/18
俳句応募期間
12/26〜
応募された全俳句を公開 会員様からのコメント募集
1/22〜
最優秀句・優秀句の発表
選考方法
夏井先生が最優秀句と優秀句を選出。

 

プレゼント
最優秀句:図書券5千円分  優秀句:図書券3千円分

 

※入選作品の発表や出版に関する著作権はテレビ大阪に帰属するものとします。