優秀句・最優秀句作品

 

【最優秀句】豊かなる水音桐の一葉落つ 投稿者:文郁
滝の近くでしょうか、或いは谷川の迸りでしょうか。水の音を身体に感じながら佇んでいるのでしょう。空に続くほどの桐の大木も秋ともなれば、その大きな葉を散らしてゆく。風に流されることも無く足元へと音を立てながら落ちてくるのです。
句またがりで表現された情景は簡潔にして力強いものです。音を主眼にした組み立ても季語を生かしています。「桐一葉」は伝統的な情緒を持ちながら生活の中での実感をも伴って受け継がれてきた季語。秋の時間と空間を落ちてくる大きな葉は心の何かを剥がすように落ちてくるのかも知れないと思う瞬間でもあります。「桐の一葉落つ」と一語一語の丁寧な表現からは、その大きな葉を踏みしめるように心中を振り返る様も詠まれています。豊かな水音のように秋を慈しむ一句でしょう。
【優秀句】コスモスは勁しわたしは倒れさう 投稿者:無矩
「コスモスは勁し」という措辞に、手の感触が想起されます。細くも強靱な茎は引いても千切れず、こちらの手を痛めるばかり。その感触と対比して頼りない自己客観が哀れにも愉快です。「倒れさう」な己を叱咤するでもなく、諦めるように見上げる空は秋の高さ。切ない青空の下にコスモスが揺れます。
【優秀句】静けさや踊櫓の残る朝 投稿者:ロイス
「静けさや」といえば思い出されるのは芭蕉の句。芭蕉の名句に真っ向から勝負を挑む勇敢をまずは讃えましょう(笑)。昨夜の「踊」の高揚は去り、広場には「櫓」が残るばかり。朝の光の中で見る櫓の周りには、種々のごみも転がっています。肉体が記憶している音や熱量と対比して、今眼前に広がる朝の光景は正に「静けさや」と詠嘆するに相応しい。
【優秀句】空蝉は落ちず月光充たすまで 投稿者:一斤染乃
琥珀色の「空蝉」。その空蝉を「月光」が「充たす」という発想に詩があります。薄くひと筋裂けた空蝉の背から液体のように忍び込んでいく月光。今は力強く爪をひっかけたままの空蝉も、この月光が満杯になった時には力が抜け、落ちるに違いないよ。そんな来たるべき詩的瞬間を想像しながら空蝉を眺める、良い月夜です。

【佳作】

 

 

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スケジュール
9/11〜10/15
俳句応募期間
10/23〜
応募された全俳句を公開 会員様からのコメント募集
11/14〜
最優秀句・優秀句の発表
選考方法
夏井先生が最優秀句と優秀句を選出。

 

プレゼント
最優秀句:図書券5千円分  優秀句:図書券3千円分

 

※入選作品の発表や出版に関する著作権はテレビ大阪に帰属するものとします。