俳句クラブ

第20回投稿作品(2017年4月10日〜2017年5月14日)

【最優秀句】種袋すなほな音を選びけり 投稿者:中山 月波
春蒔きの花の種を選んでいるのでしょうか。誰でもがそうするように種袋を耳元でカサコソカサコソと振って確かめている。縦の種類・大きさによって様々に音を立てるのですが、中でも「すなほな音」の種袋を選んだと。「種袋」という季語に意外な聴覚情報を加えたところが、この句のオリジナルな発想ですね。音でこれから出る花の様子が分かるはずはないのに作者には、まるで花の咲く姿を予知する能力があるかのようです。種をまく、水をやる、芽が出る、日に日に育ってやがて花を咲かせる。「種袋」から春を咲かせてゆく花々の色まで想像させるように「すなほな音」を心にとめる作者の「すなほな」心を受け止める優しい句です。さて、どんな色のどんな可愛い花が咲いてゆくのか。耳元から広がる優しさですね。
【優秀句】ボクサーのやうな顔して新社員 投稿者:一風堂
「ボクサーのやうな」が一瞬、唐突な喩えに思われるのですが、「新社員」という季語の持っている精悍な一面を言い表せていると考えると納得させられます。社会という厳しさに戦いを挑む心持ちが、まるで試合前のボクサーのようだということなのですね。そんな面構えとは対照的に不安と恐れを心に抱えているのでしょう。楽しみな春です。
【優秀句】朧月のような銀婚の両親 投稿者:璃紗
銀婚を迎えたご両親の姿をたたえる比喩としての「朧月」です。目出度さとともに年月を積み重ねたお二人の笑顔も彷彿とさせる表現になっています。歳とともに穏やかになってゆくご夫婦の姿も春の月の柔らかな表情と響いているのでしょう。銀婚から金婚に向かってお二人の健やかな毎日を願う作者の優しい目線にも季語「朧月」が似合います。
【優秀句】ひらかなのやうに傾げる春帽子 投稿者:夢色
「ひらかなのやうに傾げる」という比喩が春帽子という季語の持つ柔らかさにフィットしていると同時にその春帽子の人の姿をも言い現しています。傾いでいる帽子、その人の表情も比喩によって柔和さを増し、帽子と人の動きも出て来ます。句全体から春の淡さを感じます。「傾げる」をひらかなにして柔らかな印象を強調すべきかは迷うところですが。

【佳作】

 

 

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