俳句クラブ

第23回投稿作品(2018年1月23日〜2018年2月25日)

【最優秀句】透明な魚にかなしみの透ける 投稿者:富山の露玉
 「透明な魚」とは具体的な姿を持ったものでしょうか。あるいは「かなしみ」の象徴としての存在なのでしょうか。
 ただでさえ透明な存在である、この魚をながめている作者。透明な魚体の向こうには「かなしみ」という青白い発光体のようなものだけが透けているのでしょう。
 「透明」「透ける」と言葉を重ねることで、どこまでも透け続ける「かなしみ」の広がりを痛みを持ちながら、ながめ続ける。透明なものはあくまで透明でしかないのでしょうか。どんなに凝視しても透明の先には具体的なものは見えてこない。
 しかし、さらに注意深く透明の先をながめていると、やがて薄ぼんやりと見え始めるものがある。それが「未来」という明かりのであると思うのです。
【優秀句】純白の朝を漲るセロリかな 投稿者:中山 月波
 何もないほど真白い朝です。それは今まさに生まれ出た朝。光だけが凝縮した朝です。
 そんな朝を「漲る」セロリ。水分を存分に含み生命を滴らせるセロリです。純白のなかにあるがセロリの緑が際立つ光景です。「漲る」と表現したことで、「朝」と「セロリ」の生命感だけではなく、その朝を「漲る」ように生きる作者が見えてきます。
【優秀句】左にも路地あつたのか猫の恋 投稿者:天野姫城
 普段、注意深くもることもない裏路地。突っかけでひょいと買い物に飛び出す人が見えてきます。
 そんな路地を今夜は恋猫のなんとも騒がしい声が駈け抜けてゆく。うるささを目で追うと、あれ、いつもは右にしか行かないところを左に曲がっていった。おお、路地が左に。なんと飄々とした一句
【優秀句】ちょっとずつ詰めてバス行くあたたか 投稿者:まどん
 通勤なのでしょうか、あるいは1時間に1本の田舎のバスでしょうか。お互いにちょっと腰を浮かせ横にずれる。そこにキュンキュンとお尻を割り込ませバスは発車してゆくのでしょう。「あたたか」という季語が乗っている人の柔らかい表情をも見せてくれるようです。春を揺られてバスは次の停留所へ。

【佳作】

 

 

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