開局35周年 それ、テレビ大阪やろ。アジアスペシャル 愛弟子たちの島

海洋国家フィリピンが日本を救う

ナレーション 秋山竜次(ロバート)
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      番組概要

      貧困・汚職・犯罪に喘ぎ“アジアの病人”とまで言われたフィリピン。
      国民の1割が海を越えて外国で働く出稼ぎ大国。

      一方、日本の造船業界は、
      その世界最高峰の技術を伝える人材をフィリピンに求めた。

      国際航路の船員となってフィリピンドリームを叶えようとする青年と、
      生き残りをかけ造船職人をフィリピンで育てる日本企業。
      彼らはなぜ海(国境)を越えて行くのか。どうして越えなければならなかったのか。

      国境を越えて挑戦する人々の姿を追うことで、
      日本の抱える問題点とこれからの課題に迫るドキュメンタリー。

      Episode 1

      フィリピンドリームは海の向こうに ある苦学生と家族の物語

      踏んだり蹴ったりのワケあり大家族
      重すぎる希望を託された四男坊の姿に胸を打たれる

      フィリピン中部の島、ボホール島に暮らすサルコン一家は
      魚市場の仲卸として働く父親の僅かな収入で生計を立てている。
      日々の食べ物にも事欠く暮らしぶりなのに、
      アラサーの長男は働かず家でぶらぶら、
      次男は麻薬中毒の前科者で問題ばかり起こし、
      長女は父親のいない2人の子供を連れて実家に戻ってきた。
      海を望む入江の上に建つバラックで寄り添うように暮らすワケあり12人家族だ。

      家族の期待を一身に背負うのは四男坊のジョスコーロ・サルコンさん(18)
      島の船員学校に進み外航船の機関士になるべく勉強漬けの毎日だ。
      この学校からは川崎汽船など日本の海運会社で活躍する船員が巣立っていく。

      世界の海を行き来する船員の3割近くがフィリピン人、
      英語が話せて従順な国民性のフィリピン人は重宝され
      日本を含む世界各国の船舶会社がフィリピン人船員の争奪戦を繰り広げている。
      国際航路の船員はフィリピン人の平均の3倍もの年収が得られるとあって
      若者たちの人気ナンバーワン職種だ。

      外航船の船員になることこそが貧困から抜け出す唯一の道と信じ
      苦学する青年の日常と家族の姿は、日本人が忘れた大切なもの―
      フィリピン人の“Overseas”(海を超える)スピリッツの強さは見る者に勇気を与えてくれる。

      Episode 2

      生存のための技術伝承 お家芸を支えるのは外国人

      これでいいのか?技術大国・ニッポン!
      日本の生命線を外国人に託す現場にカメラが入った

      高度成長を支え世界を席巻した栄光の時代も今は昔、
      日本のお家芸、造船業界が岐路に立たされている。

      造船業界は向かい風の真っ只中。世界的不況の煽りを受け、
      かつて世界をリードした日本の造船企業も受注が急激に減少。
      さらに円高の影響でシェアを中国や韓国企業に奪われた。
      ところが、いまの日本には造船業に身を投じる若者も少なくなり、
      世界で勝負するための技術を受け継ぐ人材確保に四苦八苦している。
      最盛期の昭和40年代と比べると職人の数は1/8に減ってしまった。

      広島県福山市の造船大手 常石造船もその一つ―
      1994年、リゾート地として名高いフィリピン・セブ島の寒村に現地工場を建設。
      学校・病院・ショッピングセンターなどのインフラを整備し、
      従業員の生活基盤を丸抱えする現地化政策を推し進めた。
      誠意を持って現地住民の懐に飛び込む「常石流進出策」は
      粘り強い取り組みが実を結び、
      いまでは常石本体の事業を支える存在にまで成長した。

      さらに、広島の本社工場には多くのフィリピンや中国の労働者が
      技能実習生として来日し汗を流している。
      国際競争が激しくなる一方の造船業界で
      日本のトップリーダーが選んだ生き残りの道は
      虎の子の技術を外国人に伝承させることだった。
      技術指導をするのは日本人の熟練工たち
      70歳近くの高齢者が外国の若者を鍛える。

      「外国人たちはやる気もあって覚えも早い」と舌を巻くのだが―
      ニッポンよ、これでいいのか? 視聴者と問題意識と危機感を共有する。