2050年 高齢者4億人

2011年中国の60歳以上の高齢者数、1億8000万人。すでに日本の人口を超える高齢者を抱えているが、2050年にはその数実に4億人を突破すると試算されている。日本などの先進国と違うのは人民が豊かになる前に高齢化社会に突入したこと。一人っ子政策の影響が出る今後は高齢者の比率が急速に高まり、中国の経済発展に影響を与えることは間違いなく、中国政府も制度作りに必死だ。

シリーズ第5章は中国が抱える近未来の大問題「高齢化」をテーマに、これまで海外メディアに明かされたことのない農村部の老人ホームの実態や、高齢者関連市場の拡大をにらむ日中の企業などを取材。知られざる中国の今を浮かび上がらせる。

Summary

高齢化で急増する「独居老人」

1979年に始まった一人っ子政策、当時の親世代が間もなく60歳を超え高齢者となり始める今後、家族での介護が当たり前だった中国で、子供1人にかかる負担が増大。家族介護は間もなく限界に達する。国民1人当たりGDP世界92位という発展途上の中国が、早くも深刻な高齢化を迎えはじめているのだ。
それに伴って社会問題となっているのが「独居老人」。

都市と農村 知られざる「独居」の深層

都市部

厳格な一人っ子政策で、中国一高齢化が進む都市、上海。あるデータでは60歳以上の高齢者の48.5%が独居もしくは老夫婦だけで暮らしている。親の面倒を見ない自分勝手な若者が増えているのも事実だが、公園にたむろする老人たちの多くは同じ言葉を口にする・・・それは「自由がいい」。二桁近い成長を続ける中国はこの30年でGDPが150倍に(日本は約2倍)。都市部の経済成長はそれ以上だ。あまりの急成長に80年以降に生まれた30前後の若者と、高齢者ではライフスタイル、考え方、価値観全てが異なり一緒に生活する事が高齢者にとって苦痛になっているという現実があった。
一方で独居を望む老人の増加は数十兆円とも言われる新たな市場も生み出している。

独居の増加で急拡大する「介護市場」

大阪の介護関連企業「ロングライフ」は日中合弁で山東省の大都市青島へ進出した。それは日本初となる高級老人ホーム事業。保証金3000万円を超える富裕層向けの施設に日本式のきめ細かな介護サービスを持ち込んだのだ。
昨年11月5日にオープン、開幕式に立ち見が出るほどの見学者が訪れたこの老人ホームと日本式サービスは受け入れられるだろうか?

深刻な農村部の高齢化

農村部

旧正月。中国人にとって最も重要な日であると言っても過言ではない。都市に出稼ぎに出ている農民たち(農民工)は故郷に残した両親や子どもに会うため一斉に帰省する。のべ10億人が移動すると言われるこの季節に、前回(2011年12月30日)放送した山東省農村部「楽陵」の老人ホームを訪ねた。
 そこには年越しを巡る悲喜こもごもが。家族と一緒に正月だけの里帰りをする老人、老人ホームに家族が来て数時間で帰った老人、誰も迎えにこない老人。連れに来た息子を見て感極まって大泣きする老人。

「孤独」との戦い

広がる経済格差は若い世代に出稼ぎに行く事を余儀なくさせている。仮に近くに住んでいても昼間は家族が仕事に出かけ老人は独りぼっち。「孤独が何よりつらい」。多くの老人たちは今、老人ホームへの入居を希望し始めている。この老人ホームも何と現在800人待ち。今後さらに子どもの数が少なくなるのが確実な中、一人当たりの負担は増加、一体農村の高齢者はどうなってしまうのか?介護、年金、医療制度の整備をどう進めるのか。中国政府は正念場を迎えている。