太平洋戦争末期、鹿児島県の知覧飛行場は陸軍の特攻基地となった。軍指定の富屋食堂を営み、若き飛行兵たちから母のように慕われていた島濱トメは、二度と帰らない彼らを引き留めることも出来ず、複雑な思いを胸に秘め、慈愛の心で彼らを見守り続けていく。悩みながらも軍人としての本分を尽くそうとする中西は遺品の郵送をトメに託し、仲間に先立たれて死を急ぐ坂東は、死んだ後に特攻に志願したことを父親に伝えて欲しいとトメに頼んだ。やがて終戦。しかし、それで全てが終わったわけではなかった。生き残った特攻隊員は、罪の意識を抱え、生の意味を問い続ける。トメは彼らの試練をもまざまざと目の当たりにすることになったのである・・・。
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