人権擁護法案の概要と主な問題点
法案の概要

同法案は、人権侵害を受けた被害者を救済するために「人権委員会」(法務省が管 轄する、国家行政組織法第3条に基づく独立行政委員会)を新設することがその骨子。  
法案では、一般的な人権侵害行為とは別に、特に救済が必要な人権侵害行為として 「差別」「虐待」などと並べて「報道による人権侵害」を挙げ、これについては人権委員会に、

①当事者間を調停・仲裁する、
②人権侵害行為を止めるよう勧告する、
③勧告に従わない場合はその旨を公表する、
④被害者が加害者を訴えた場合は訴訟を援助する

                    
―といった権限を与えるとしている。

救済の対象となる「報道による人権侵害」は、取材・報道の対象者が犯罪被害者等
(①犯罪行為により被害を受けた者、
②犯罪行為を行った少年、
③犯罪行為により被害を受けた者又は犯罪行為を行った者の配偶者、直系若しくは同居の親族又は兄弟姉妹)であり、プライバシーを侵すような報道や"過剰な"取材行為が行われた場合としている。"過剰な"取材行為については、当該者が取材を拒否している場合に、「つきまとい」「待ち伏せ」「進路に立ちふさがり」「通常所在する場所の付近で見張り」「押しかける」「電話、ファクシミリで送信する」などの行為を「継続」「反復」した場合と定義している。