14年前、被災地支援で訪れた場所で
新たな決意を刻むー。
3月22日(土)宮城県石巻市の石巻グランドホテル主催による上映会を開催。会場には地元の人々をはじめ、矯正施設関係者・更生支援活動に取り組む企業関係者ら、100人が詰めかけました。上映後は主人公の草刈健太郎氏・北岸良枝監督・花本憲一プロデューサーによるトークセッションが行われました。

草刈氏にとっても石巻は大切な場所。その思いを、来場者に向けて語りました。
(抜粋)
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更生支援活動に導かれた“原点の地”で。
2005年、妹の福ちゃんがアメリカ人の夫に殺害され、どないしたら仕返しできるんかなとばっかり考えていました。そんな私を更生支援へと導いたきっかけが、ここ石巻市の日和山公園で行った復興支援活動でした。

東日本大震災発生から1か月後。私の義理の父・料理人の神田川俊郎と大阪を代表するお好み焼き千房、串カツだるま・たこ焼きくくる・うどんの今井総本家の社長さんたちと支援物資の配布や炊き出しをやりました。その復興支援イベントで協力を頂いた千房・中井社長(当時)から更生支援活動への協力を持ち掛けられ、2013年、日本財団「職親プロジェクト」に立ち上げメンバーとして参画しました。当時、中井社長は、私が犯罪被害者の遺族であることを知りませんでした。なんで俺なのって。いろいろ協力してもらったので断わることができなかった…恨みもまだありますし、ちょっとやってある程度やったらやめようと思っていました。
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日和山公園での復興支援(2011年)
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当時を振り返る草刈氏(2025年 3月)
協力:仙台放送
生まれる“ご縁”と“絆”を大切に。
更生支援活動をやっていくうちに、色々な出会い、ご縁によって、私自身も本当に助けられました。これまで元受刑者や少年院を出た35人を雇用してきました。裏切られるなど一筋縄ではいかない更生支援ですが、感動することもありました。ギャンブル依存症の者が仕事依存症になって、むちゃくちゃ仕事頑張ってくれる。映画にも出てきた東北少年院で出会った青年もそうです。人は機会の提供で、頑張れるし頑張るんです。身寄りのない元受刑者を時に兄、時に親のように見守ってきました。いつしかこの活動は、殺害された妹からお兄ちゃんやれ!といわれているように思うようになりました。加害者支援を何ですんねんって言われたら、ほんまに被害者を作りたくないからなんです。私が参画している「職親プロジェクト」は大阪から誕生し、この12年で全国に広がり、2022年には宮城支部も発足しました。今日も参画企業の仲間が来てくれていますが、14社でこれまで7人を採用し、人材定着を図ってくれています。こうした仲間たちの存在もすごく励みになっています。
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命が守られる社会に…その思いをつなぐ、“使命”。
石巻での支援を通じて、命の大切さや今後の生き方について考えさせられたことも背中を押しました。 私は、妹を亡くしていつ死んでもええわって思っていたんですがこういうところに来させてもらって…命のありがたみを反対に感じさせていただいているんです。今回、映画を上映してくださった石巻グランドホテル様も復興支援のイベントをきっかけに交流を続けさせていただいています。そのご縁で石巻の大川小学校の児童の遺族の方々ともつながり、毎年、追悼行事の竹あかりにも参加させていただいています。
更生・復興も関心を持ってもらうことが大事だと思っています。災害はいつ起こるか分からない。風化させないためにやることが、私の使命なのかなって思います。命はもう帰ってこないので、それに対して私らがこういうことが起きないよう伝えていくことが私らの仕事だと。 災害からも犯罪からも、命が守られることを願いこれからもできる支援に取り組み続けていきたいと思います。
(カンサイ建装工業 代表取締役 草刈健太郎)
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2011年3月22日
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2025年3月22日
(撮影 プロデューサー 花本憲一)