平成13年3月9日
(社)日本民間放送連盟
民放連は3月6日、政府が作成中の「個人情報の保護に関する法律案」に関する原案の説明を受けたが、立法化に際して、放送取材・番組制作分野等「表現の自由」に関わる面については全面適用除外(法の対象外)にすべきであるとの考えを改めて表明したい。
今回明らかになった法律案は、当初構想された理念型の「基本法」ではなく、主務大臣の「勧告・命令」等に従わなかった場合の罰則規定を明記したことにより、「一般法」となり、メディアに対しても極めて強い影響を与える法案となっている。
法案では「放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関 報道の用に供する目的」について、個人情報取扱事業者の義務規定の適用除外とし、「報道」の定義が明確ではないものの、基本的には報道活動に対する公権力の直接介入を排除した。しかしながら、一方では、報道機関といえども、依然として「利用目的による制限」「適正な取得」など5つの基本原則は適用されることとなっており、取材・報道活動が大きな制約を受ける恐れが強い。
民放連は、表現の自由は「報道取材および番組制作分野全般」におよぶものとの見地にたっており、今回の法律案による「報道の用に供する目的」も、番組制作活動全般が包含されるべきだと考える。また法律案の義務規定には、「配慮義務」として、「主務大臣は、・・・・個人情報取扱事業者に対し報告の徴収、助言、勧告又は命令を行う場合において、表現の自由を妨げることないよう配慮しなければならない」としているが、当然のことながら、この「配慮義務」は最大限尊重されるべきだと考える。しかしながら、「報道目的」が極めて限定的に解釈され、「配慮義務」が軽視された場合、一般の番組制作分野等の個人情報データ保護に対し、義務規定は全面的に適用され、主務大臣(放送機関の場合原則的には総務大臣)、つまり公権力による管理・監督のもとにおかれることになる。このことは、これまでには無い新たな事態であり重大な問題をはらんでくるといわなければならない。
民放連は再三表明しているとおり、「表現の自由」にかかわる活動は国民から信頼されることが前提であり、そのためには番組制作活動は、放送機関の自主・自律に委ねられるべきものである。いささかも公権力の介入が許されてはならないと考える。そのためには「表現の自由」に関わるすべての活動(報道取材・番組制作分野)については、個人情報保護法から全面適用除外(法の対象外)されるよう強く求めたい。
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