ドキュメンタリー7

毎月最終土曜  午前11時放送

第32回

世界最悪級の汚染に挑む
~日の丸ベンチャーの開拓記~

2025年11月29日放送

工場排水による汚染で、ほとんどの魚が棲めない「死の川」。
PM2.5の濃度が、世界ワーストを記録した「大気汚染」。
そんな世界最悪レベルの汚染を抱える国が、南アジアのバングラデシュです。次の世界経済の主役となる国々「グローバルサウス」のひとつに数えられる一方、汚染によって病気にかかる国民は多く、深刻な社会問題に・・・。

そこで動き出したのが、関西発のベンチャー企業「glafit」。一人用の乗り物、パーソナルモビリティと呼ばれるEV=電動車両を開発するメーカーです。自転車型や立ち乗り型、4輪型など、「移動を、タノシメ!」をコンセプトに、デザイン性の高いEVを数多く生み出し、たびたび表彰された実績をもちます。そして今年、「バングラデシュにEVを普及させる」ことで大気汚染を軽減しようという新ビジネスに乗り出したのです。

「glafit」がこれまで注目された理由は、独自のビジネスモデル。iphoneを作るアップル社のように、自社で工場を持たない「ファブレス」という生産方式を採用していて、地元・和歌山の老舗メーカーに車両生産を委託しています。地域の力を活用することで、ファブレスを実現しながら、地域産業を盛り上げようという狙いがあります。

このビジネスモデルを考えたのは、和歌山市出身の鳴海禎造CEO。2017年の設立以来、東京や大阪への本社移転の誘いも舞い込みましたが、地元に残ること、地元を盛り上げることにこだわり続けてきた経営者です。人口減少、産業の衰退という地方の抱える課題に、ビジネスの力で向き合ってきました。

そんな鳴海さんが手がける、次の「課題解決」の舞台が、バングラデシュ。現地でEVを広めることで、大気汚染を軽減しようと考えます。ただ、そこには強力なライバル企業の存在も…。日の丸ベンチャーが挑む、「グローバルサウス」開拓の記録です。