
体側に浮小判型のパーマーク(斑紋)。
ルビーを散りばめたような朱い点。
天魚と書いてアマゴと読む。
その字のごとく、
天空から舞い降りたような美しい魚だ。
岐阜県長良川の上流、郡上八幡でアマゴを釣る。
釣り人は、郡上で生まれ育ち、
40年以上渓流釣りや鮎釣りに親しむ白滝治郎。
そして渓流釣り初心者の松田拓也。
白滝に手ほどきを受ける。
アマゴ釣りの餌は川虫を使う。
キンパク(ミドリカワゲラモドキの幼虫)、
クロカワムシ(トビケラの幼虫)、
ヒラタ(ヒラタカゲロウの幼虫)など。
川底の石を引っくり返すだけで簡単に獲れる。
餌を確保した後、長良川の支流で釣りを始める。
まずは振り込み。
仕掛けが軽いため、松田は振り込むのに一苦労するが、
白滝の「仕掛けの重みを竿に乗せる」というアドバイスで徐々に慣れてくる。
次は流し。
餌をしっかり底の流れに入れるのがコツ。
アマゴは底付近に定位し、上から流れてくる餌を待っているからだ。
やがて目印にアタリが。
あわせてみると、可愛いアマゴが釣れた。
手に取り、じっと眺める。実に清楚で美しい。
白滝は、頭上に木の枝が覆い被さってるような投げにくい場所でも、
的確に仕掛けを振り込む。
その美技に松田は感心しきり。
郡上では「香り鮎に味のアマゴ」と昔から言われている。
天ぷらにから揚げ。頭からガブリといく。
確かに鮎を凌ぐほどの美味。しあわせが口の中に広がる。
水温む春。
しみじみと味わう渓流釣りをお送りする。