「このエリアは初めてですね。
どういう潮の流れなのか、でも釣りますよ」
磯の上から海を見ながら男は力強く言った。
彼の名は木村公治。広島県在住のチヌ釣りの名手だ。
昨年、全国規模のチヌ釣りトーナメントで優勝した、
いま最も注目されているトーナメンターだ。
「この時期、ピンポイントに狙わないと魚は食ってこない。」
まだ厳しい寒さが続くこの時期はチヌの食い気は低い。
いかにチヌにアプローチしていくのか。
名手の一挙手一投足に注目する。
今回、舞台となるのは香川県の西に位置する荘内半島(しょうないはんとう)。
釣り方はマキエで魚を寄せて、サシエで食わす。
いわゆるフカセ釣り。
まずはネリエを使う。
朝一番、木村は沖の落ち込みにキャスト。
この時期チヌは底付近にいることが多いが、
朝はエサを求めて浮いていることもある。
木村はオモリを使わず上から下までじっくり探る。
すると、食った。
竿がキレイな弧を描く。
足元に生い茂る藻を気にしながら慎重に引き寄せる。
釣れたのは本命チヌ。背ビレがピンと立った良い一尾だ。
「着底してすぐ!嬉しいな」と笑顔の木村。
そして、ここから木村はヒットを連発。
40センチオーバーの良型を含むチヌ3尾を立て続けにキャッチ。
釣り始めて1時間で4尾を釣り上げた。
絶好調の木村「ネリエで重要なのは魚が出てくるタイミング。
マキエの所に精度よくキャストすること。それが大事」と木村は言う。
すると「来た!これはデカいぞ」今までよりも力強いヒキ、木村の手に力が入る。
しかし、ハリが外れてしまった…。
悔しそうな木村「あーもったいない。まだ食いますよ。」
木村の闘志に火が付いた。
再度、沖を狙う。果たして…。
名手がみせる寒チヌ攻略術。
現役チャンピオンのテクニックは必見。
どうぞお楽しみ!