NO.196
   不死身のいきものプラナリア!
 
 
 
  みんな、『プラナリア』って知ってる? 見た目は地味だけど、いま生化学の分野で注目されているんだって。
今回は、『プラナリア』の不思議な能力や、その研究の意味あいについて解説するよ!
-Qっとくんが理解したこと
 
 
(1) プラナリアは、きれいな川や用水路に住んでいる、体長1~2センチほどの小さな生物だが、人間には想像もつかない不思議な能力を持っている。
それは、体を切っても死なないということだ。切った数だけ増えていくのである。
プラナリアはもともと、仲間を増やすために、ある程度の大きさに成長すると、自分から2つに分かれて2匹になるという性質を持っているのだ。
(2) プラナリアの頭は三角形で、頭の真ん中あたりに目があり、頭の先端のほうに匂いを感じる部分がある。
体の真ん中あたりに、人間でいうと口・ノド・肛門に当たる一つの器官がある。
プラナリアは、単に切った数だけ増えていくだけではなく、体を切られても、頭と尻尾の方向がわかるしくみを持っている。だから、どこを切られても、もとどおりの体に再生することができるのだ。
(3) プラナリアの体が再生できるのは、眼、脳、筋肉、どんな細胞にもなれる「万能細胞」を体中に持っているからである。
実は人間も、胎児(たいじ)のときは万能細胞を持っているのだが、成長していくうちに、万能細胞を失ってしまうのだ。
けがや病気で失った体の一部を再生させる<再生医療>の世界でも、細胞再生のしくみを解き明かす鍵となる生物として、プラナリアは注目を集めている。
 
  -プラスあるふぁ-  
 
万能細胞を再生医療に活かすためには、細胞がどのようにコントロールされているかを知ることが重要である。近年の研究で、そのプロセスにかかわる遺伝子の働きが解明されつつある。
脳の発生に関わる遺伝子の働きを抑えたプラナリアは、あちこちに脳ができて、こっちへ進もうとしたりあっちへ進もうとしたりしたという。
再生医療の進歩に向けて、プラナリアの存在にその扱い方を学ぶことが重要だということを示しているといえよう。
 
 
   
 
 
   
   
  阿形清和
(理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター)
 
   
   
 
 

2/28(土)

9:30~9:45
  テレビ和歌山(WTV) 3/6(土)
18:45~19:00
  びわ湖放送(BBC) 3/6(土)
18:45~19:00
  奈良テレビ(TVN) 3/6(土)
17:00~17:15
  福井テレビ(FTB) 3/8(月)
16:00~16:15
   
 
NO.195
   ふしぎな石・磁石
 
 
 
  鉄にくっついたり、同じ極どうしだと反発したり。『磁石』って何だか不思議だよね。でも、磁石は毎日の暮らしをいろんな所で支えているんだよ。
今回は、いろんな角度から磁石について解説するよ!
-Qっとくんが理解したこと
 
 
(1) 磁石にはN極とS極があり、違う極同士はくっつき、同じ極同士は反発しあうのは皆も知っていると思うが、鉄などを引きつける磁石の力のことを「磁力」という。
磁石を細かく砕き、しっかり振ると、くっつかなくなる。バラバラだとそれぞれが磁力を打ち消しあうためである。
だが、この磁石に別の磁石をくっつけてから試してみると、元どおりの磁石の役割を果たす。
これは、細かな磁石の中のN極とS極を整列させることで、それぞれの磁力が一つの方向を向いて、磁石の役割が戻るからなのだ。
(2) 磁力は電気とも密接な関係がある。巻いたコイルを磁石のそばに置き、磁石を回転させると、横にあるコイルに電流が流れるのだ。
磁石が動いて電気を生み出すこの現象を「ファラデーの電磁誘導」という。タイヤが回転して自転車のライトが点くのも、このしくみを利用している。
(3) 身のまわりで一番身近な磁石は地球である。それを表しているのがオーロラ現象だ。
太陽から飛んでくる、電気を持った小さな陽子や電子は、地球の持っている磁力に引っ張られ、地球の磁力線に沿って、北極や南極の大気に流れ込んでくる。
そのとき、大気の中の酸素や窒素が光る。これがオーロラなのだ。
 
  -プラスあるふぁ-  
 
家電製品において、モーターやスピーカーなどに用いられる磁石だが、それらのものを小型化するためには、より強力な磁石が欠かせない。
現在使われている磁石で最も強力なものは、『ネオジム』や『サマリウム』といった希土(きど)類を使った磁石である。
希土類元素の存在や役割については、一昔前までは十分に知られておらず、「稀な存在」という意味で『稀土類』と表記されていた。
しかし、技術の進歩に磁石が重要な位置を占めるようになってきた今、「希望」の字が当てられるようになったのである。
 
 
   
 
 
   
   
  齋藤吉彦(大阪市立科学館)
国立極地研究所
 
   
   
 
 

2/21(土)

9:30~9:45
  テレビ和歌山(WTV) 2/28(土)
18:45~19:00
  びわ湖放送(BBC) 2/28(土)
18:45~19:00
  奈良テレビ(TVN) 2/28(土)
17:00~17:15
  福井テレビ(FTB) 3/1(月)
16:00~16:15
   
 
NO.194
   ツヤツヤきれいな真珠のヒミツ!
 
 
 
  アクセサリーなどでよく見る『真珠』。あの独特の色はどうやって作られるのかな?
今回は、真珠がどのようにしてできるかを追いかけてみたよ!
-Qっとくんが理解したこと
 
 
(1) 真珠には天然真珠と養殖真珠があり、養殖には一般にアコヤガイという貝が使われる。日本は、進んだ養殖技術をもち、アコヤガイを使った養殖真珠のうち、世界の約80%を生産しているのだ。
アコヤガイ以外でも、クロチョウガイからは黒真珠、マベガイからは半円形の真珠などができる。
料理に使うアサリやハマグリからでも可能だが、養殖には、特にきれいな真珠を作る貝ばかりを選りすぐって使っているのだ。
(2) 真珠のツヤツヤした輝きは、貝殻の内側の光沢のある部分を作り出す「外套(とう)膜」という器官から出る「真珠質」という物質でできている。
もともと真珠は、貝が自分の身を守るために作るものなのである。貝の中に砂や虫など異物が入ってきたときに、「外套(とう)膜」の一部が一緒に体内に入ってくることがある。
すると、外套膜は細胞分裂を起こして、砂や虫を包み込む。そして、外套膜から出た「真珠質」で何重にも覆われて、真珠ができあがるのだ。
(3) 養殖真珠を育てるには、まず、砂や虫の代わりに芯となる核と外套膜を貝に入れる手術をして、海に戻す。
海から引き揚げるのは、だいたい1年~3年ほど経ってからだ。
真珠質は、寒い時季に作られるほどキメが細かく美しい。だから、海から真珠を揚げるのは冬なのだ。
 
  -プラスあるふぁ-  
 
大半の真珠はアコヤガイによって作られるが、実は淡水で真珠を作る貝もある。琵琶湖などでは、『イケチョウガイ』という、淡水性の貝を使った真珠の養殖が行なわれている。
この『イケチョウガイ』を用いて、道頓堀川(大阪市)で真珠を育てる試みが2002年にスタート。2003年2月には実際に川に真珠貝を入植した。その狙いは『水質浄化』だ。
真珠を作る貝に限らず、貝の多くは植物性プランクトンや、その死骸を食べて大きくなる。したがって、水を浄化する能力が高いのである。
 
 
   
 
 
   
   
  永井清仁(ミキモト研究所)
ミキモト
 
   
   
 
 

2/14(土)

9:30~9:45
  テレビ和歌山(WTV) 2/21(土)
18:45~19:00
  びわ湖放送(BBC) 2/21(土)
18:45~19:00
  奈良テレビ(TVN) 2/14(土)
17:00~17:15
  福井テレビ(FTB) 2/23(月)
16:00~16:15
   
 
NO.193
   トロ~リ とろとろチーズ!
 
 
 
  みんな、チーズは好きかな? チーズは、人間が作った最も古い食品のひとつで、世界で1000種類以上もあるんだって。
今回は、チーズの種類や作り方、チーズを使った料理も教えるよ!
-Qっとくんが理解したこと
 
 
(1) チーズは牛やヒツジ、ヤギなどの乳から作られる乳製品だが、大きく分けて『ナチュラルチーズ』と『プロセスチーズ』の2種類がある。
ナチュラルチーズはその種類ごとの製法で作った、自然のままのチーズだ。できあがったナチュラルチーズをいったん熱で溶かし、熱いうちに形を整えて作ったのが『プロセスチーズ』なのだ。
(2) ナチュラルチーズ作りは、まず乳を温める(凝固)ことからスタート。次に、タンパク質を「乳酸菌」や「酵素」で固めてヨーグルト状にする。
そして、水分(乳清)を取り除いて白い固まりを取り出し、表面に塩をすり込むか、塩水につける。これは、雑菌がついたり増えたりするのを抑え、風味を良くするためだ。
最後に時間をかけて熟成させるが、このとき、タンパク質が分解してアミノ酸になり、チーズの香りとうま味が生まれるのだ。
(3) 皆も好きなピザなどに使われる『伸びるチーズ』。この代表が<パスタフィラータ>という製法で作られたチーズで、モッツァレラチーズやスカモルツァチーズなどが有名だ。
<パスタフィラータ>のチーズは、引っ張ると裂けるという特長もある。
低温では、チーズ生地の主な成分である乳たんぱく質と脂肪は糸くずの固まりのように束になっているのだが、熱を加えると、糸がほどけるように繊維が伸びるのである。だから、とろ~りとしたチーズになるというわけだ。
 
   
  -プラスあるふぁ-  
 
アニメのイメージがあるからだろうか、チーズが好きな生き物といえば『ネズミ』を連想する人が多いだろう。実際、ネズミはチーズをはじめとする乳製品が大好きである。
ネズミのような『げっ歯類』の多くは、哺乳(ほにゅう)類の中で体が最も小さい部類に属しており、体温維持のために、より効率の良い食べ物を必要とする。
動物の赤ちゃんを育てる乳の栄養分が濃縮されているチーズは、ネズミにとっても最も効率の良い食品ということになるのだ。
 
 
   
 
 
   
   
  堀江憲一(チーズショップ『カマンベール』)
国立民族学博物館
六甲山牧場
オホーツク農業科学研究センター
 
   
   
 
 

2/7(土)

9:30~9:45
  テレビ和歌山(WTV) 2/14(土)
18:45~19:00
  びわ湖放送(BBC) 2/14(土)
18:45~19:00
  奈良テレビ(TVN) 2/14(土)
17:00~17:15
  福井テレビ(FTB) 2/16(月)
16:00~16:15
   
製作・著作