あなたが完成させて――。
残されたわずかな時間の中、妻の書いた物語が、夫の心に愛の奇跡を呼び起こす
医師のトミー(ヒュー・ジャックマン)は、新薬開発の研究に没頭していた。病に冒された最愛の妻イジー(レイチェル・ワイズ)の命を救いたい。その一心から、トミーは何もかもを投げ打って治療法を求めていた。たとえ、愛する妻が初雪の中を一緒に散歩したいと願っても、トミーは残された時間を食い止めるために少しでも研究を進めたいと思ってしまう。イジーはわずかな時間をトミーと過ごし、彼の心に生きた証を刻みたいと望んでいても……。
トミーが帰宅すると、イジーは屋根の上で星をみていた。望遠鏡を覗くと、金色に輝く星雲が見えた。イジーは、それはマヤの人々が“シバルバ”(黄泉の国)と呼ぶ死に向かう星だと言う。そのことを本に書いていて、あと少しで完成するとトミーに話した。
トミーは「ファウンテン」というタイトルの、その物語を読み始める。それは中世スペインを舞台に、高潔な騎士トマス(ヒュー・ジャックマン)が、美しい女王イザベル(レイチェル・ワイズ)の命を受けて永遠の命を約束すると信じられている伝説の<ファウンテン(生命の泉)>を探す旅に出かけていく壮大な物語だった――。
白紙の最終章まで読み進んだ時、イジーが発作を起こして倒れてしまう。崩れる彼女を抱きとめながら、トミーはその肉体を失うことへの恐怖に襲われる。一方イジーは、すでに運命を受け入れており、トミーに支えられた瞬間、心から満ちたりた気持ちになる。イジーはトミーにペンとインキをプレゼントし、「あなたが完成させて」と願う。自分が書いた物語を愛する人の手によって完成させたい。それが、ふたりの絆を永遠にするとイジーは信じていた。そんなイジーの願いをトミーは叶えられるのか? そして、その後のトミーにどんな運命が待ち受けているのか……? 妻の書いた物語が、夫の心に愛の奇跡を呼び起こす――。
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