2013年12月4日、ユネスコは日本政府が推薦した「和食 日本人の伝統的な食文化」を
無形文化遺産に登録することを決めた。安倍晋三首相は「心から嬉しい。
日本人の大切な食文化を末永く後世に引き継ぎたい」とした上で、
「海外の方々にも和食のよさを理解していただけるようさらに発信していきたい!」と述べ、
農産物、食品の輸出額を現在の4500億円から2020年までに1兆円に増やす目標を掲げた。
空前の和食ブームに乗って、縮小する日本市場から海外に打って出る企業が増加する中、
今回の世界遺産登録はまさに追い風!番組では和食文化に深く関わる企業にスポットを当て、
アジアに市場を拡大する生の現場をリポート。
さらに大杉漣×中村孝明の2人が和食の良さを語り合う。
寿司と並ぶ和食の代表格「天ぷら」。それを日本ならではの食形態である「丼」と融合させたのが“天丼"だ。天丼チェーンの「天丼てんや」(東京)は、昨年以降タイに3店舗を出店し、今後5年で30店舗を計画。今年は2カ国目、インドネシアに進出する。
2022年までに東南アジアを中心に海外100店舗展開を目指すという「てんや」だが、主ターゲットとなるのは急増するボリュームゾーン中間層。世界文化遺産登録で和食ブームが広がる中、高級イメージが強かった天ぷらを、経済成長によって急増している中間層の人々にも手の届く価格で提供する考えだ。タイと同様、現地の文化に合わせたメニューも考案する予定。天ぷらは異国の地でどのように受け入れられて行くのだろうか?その様子に密着。
世界中で爆発的人気を博す和食の代表「寿司」。東京すしアカデミーは去年、開校12年目にして初の本格的海外校をシンガポールに設立した。アジアで急速に広がる和食ブームに乗って寿司、日本食職人不足が深刻化。ニーズが急増していることが背景にある。
東南アジア全体の需要を満たすことができるよう、アジア経済の中心地であるシンガポールに開校した。実際生徒はシンガポールだけでなく周辺の各国から集まっている。昨年の世界文化遺産登録によってさらに職人の需要が増えることが予想されることから東京すしアカデミーは今後、東南アジア各地に徐々に進出していく予定だ。
海外の職人候補生たちは日本の食文化をどのように感じ、どんな思いでここに来ているのか?数人の生徒に密着し、短期間で技術を習得しはばたいていく姿を追う。そして外国人の目を通して和食文化の良さを考える。
1964年オリンピックの年に発売されたワンカップ大関。若者に向けた日本酒の新しいスタイルを模索していた老舗が「ガラスコップに日本酒を入れる」というコンセプトを発案し、開発。10年後には1億本を売り上げ、現在もカップ酒市場の3分の1を占める。
しかし国内市場が縮小、愛飲者の高齢化が進んでいることから、大関(兵庫県)はワンカップを“お洒落なお酒”として海外へ広める戦略を打ち出した。中でも以前から輸出しているアメリカに加え、力を入れるのが成長著しい東南アジアの国々だ。
2014年、タイの首都バンコク。日本食がブームになるにつれ、日本酒の消費量も増加中だ。セレブが集まる通りとして人気が高い「トンロー」の日本料理店にワンカップを売り込む営業担当者の姿が。カップ酒の概念がない国で、市場ゼロからの挑戦が始まった。