瀬戸内の港町・福山の荒れ寺で、八兵衛が見た平家の亡霊。陰々と弾き語る不気味な琵琶法師。更にその様子を窺う怪しい男。亡霊のたたりに町は死んだように静まり返っている。しかし裏では閉ざされた漁場を舞台に、船手奉行と海賊上がりの廻船問屋の抜け荷が進行中。兄を捜す可憐な娘を救い、亡霊の正体を暴き出す黄門さま一行。
芸州浅野家の領内に入った黄門さま一行が目にする厳しい出入国の詮議。どうやら裏には藩の内紛が。権力を狙う次席家老一派には、翁の面が率いる忍びの一団。これに反発する下級武士達の危急を救う黒頭巾の素顔はなんと助三郎に瓜二つ。浅野家滅亡を画策する怨みの渦に巻き込まれた一行が、公儀巡見使に扮して敵の本拠地へ。
正月だというのに華やかさのかけらもない街並にやって来た黄門さま一行。聞けば女っ気がまるでなく、一行が泊れる宿もない始末。八岐の大蛇より性悪で好色な代官の為に山の中に難を逃れた女達が、親や亭主を叱咤激励。だが男恋しさに悲喜こもごも。怒りの黄門さまが一計を案じ、大蛇ならぬ代官退治の石見神楽の大芝居!
下関へ渡る船中で知り合った海産物問屋の気のいい番頭。店を健気に切り廻す主人の娘を狙う商売敵のドラ息子。役人と結び、殿様献上のカマボコに細工して店を乗っ取る悪企み。番頭の息子でカマボコ造りの職人と心を通じ合う娘を助け、悪者どもに一杯食わせる黄門さまの筋書きが、とんだお笑い、八兵衛が番頭と一緒にフグ中毒の大騒動。
<第131話>
伊予宇和島の伊達家では、世継ぎを巡って姉妹の姫君が両派に分かれて御家騒動の真っ最中。しかも姉姫は母を訪ねる千春に瓜ふたつ。実情を訴える江戸への密使も殺され、家中騒然。姉姫を命がけで守る乳の人こそ千春の母。その母の為に姫の身代わりを承知した千春が毒を前にした土壇場、城内へ乗り込んだ黄門さまが黒白を決する母娘対面。
<第132話>
道後温泉繁盛の裏に、町奉行と結んで悪の限りを尽くす赤鬼、青鬼の兄弟。地獄の苦しみ、伊予絣の機場から逃げ出して命を落とした娘。その妹も売られて湯女の身だが、好色の罠に危機一髪。逆怨みした妹は、あわや藩主を刺そうとまでする。怒り心頭の黄門さま。お微行の藩主に実状を見せ、悪者どもを叩き潰す湯けむりの大活躍。