<第779話>
黄門さま一行は吉田へ。黄門さまは吉田神社の祭りで勇壮な手筒花火が奉納されると聞き、楽しみにしている。一行とは別行動の楓は、ふとしたことから花火師の丈太郎と知り合い、丈太郎の母、おせいに頼まれて家事の手伝いをしながら二人の家に留まることになった。丈太郎の父、茂兵衛は有名な花火師で、画期的な工夫をして強力な火薬を開発したが、半年前、仕事中の不審な爆発事故で死亡していた。
<第780話>
黄門さま一行は岡崎へ。助三郎と格之進は、黄門さまが二人の目を盗むようにして一人で町を散策する様子を不審に思っていた。黄門さまは秘かに町を巡り、名物の八丁味噌を商う「枡塚味噌蔵」を探し当てる。その店には、数十年前に、江戸で黄門さまと恋仲にあった娘、なつが嫁いでいるはずだった。黄門さまを出迎えたなつの娘、こなつは、母親は前年に亡くなったと告げる…。
<第777話>
黄門さま一行は藤枝宿へ。住職、玄心のぼろ寺に宿泊する。すると寺の土蔵で、悪人の伝蔵が開いている賭場で事件が起こる。ケガのため野良仕事がままならない貧農の吾助が、最後にすがった博打で有り金を無くし、いかさまだと口走ったために、仕置きをされたのである。黄門さまと玄心の取り成しで事は収まったが、吾助は年貢と借金が払えないと、思いつめた表情で嘆く。
<第778話>
黄門さま一行は浜松へ。一行は小さな宿「松乃屋」に泊まることになった。松乃屋は、冨美と千代という母と娘が営んでいた。だが、宿は深刻な悩みを抱えている。冨美の夫、多平は、三月前、客から預かった百両を盗賊に盗まれ、その上、賊に殺されたという。その時、浜中屋の主人、藤兵衛に金を借りてしのいだが、宿には多平の幽霊が出るなどの噂が立ち、次第に客足が遠のいてしまった。
<第775話>
黄門さまと助三郎、格之進そして八兵衛は三島へ。が、うかつにも助三郎は財布を、そして格之進は印籠を美人スリのお蔦に取られてしまった。二人はお蔦を必死に探す。お蔦が川に捨てた印籠を楓が偶然拾い、格之進に届けた。楓は自分もスリだと偽って、お蔦に近づき、事情を探る。二人は酒を酌み交わして打ち解けるが、何かを秘めたお蔦の表情が楓は気に掛かる。
<第776話>
黄門さま一行は清水へ。一行は派手な着物に身を包んだお蝶とその子分たちが、船乗りたちと乱闘をしているところに出くわす。格之進がお蝶の加勢をするが、かえって騒ぎを大きくしてしまい老公に叱られる。さて、お蝶は廻船問屋の主人、英三郎の一人娘である。しかし、お蝶は自分が英三郎の子ではないのでは、と疑っており、母親が他界してから父と娘は心が離れてしまった。
<第773話>
平塚宿に向かっていた黄門さまは、流鏑馬の練習をする侍、松岡左馬之介の見事な腕前に感心する。松岡と愛馬、竜王の人馬一体となった技に助三郎と格之進も目を見張る。そこへ、代官、岡部主水丞の手下が現れ、松岡に竜王を譲れとしつこく迫る。松岡と幼い娘のおこまは家族同然の竜王は渡せないときっぱりと断るが…。
<第774話>
黄門さま一行は、貴船祭りが行われる真鶴へ。祭りのため空き部屋が無く、一行はうらぶれた気味悪い旅籠に投宿する。怖がりの格之進は幽霊が出るのではないかと怯え、早々と寝入ってしまう。一方、黄門さま、八兵衛と一緒に祭り前夜の見物に出た助三郎は、二人と別れ、ある橋の上で、美しい武家娘、志乃に出会い、あることを頼まれる。
<第771話>
黄門さまは、将軍綱吉の呼び出しを受けて江戸へ出てきた。黄門さまはある祭りの最中、貧しい身なりの侍家族が、ほかの侍と揉めているところに出くわし、仲裁に入った。侍家族は、桑畑清十郎、みち夫婦と二人の子の四人である。黄門さまは家族に食事と宿の世話をすることに。格之進は逸平を湯屋に誘い、楓はみちとはなを甘味所へ。助三郎は桑畑と手合わせをしたところ、桑畑が一流の剣士であることがわかる。
<第772話>
黄門さまは将軍綱吉に秘かに面会する。綱吉は黄門さまに伊勢神宮に代参してほしいと頼むが、実は、庶民の暮らしを見てきて欲しいというのが真の願いであった。黄門さまは、助三郎、格之進をお供に東海道を進み、品川宿へ。八兵衛が探したにも関わらず、あいにく宿場には空き部屋が無い。一行は気風の良い茶店の女、おせんの長屋に宿泊することになった。